メキシコの情熱と痛みを描いた画家、フリーダ・カーロ
メキシコ
フリーダ・カーロ(1907-1954)は、メキシコを代表する女性画家です。彼女の人生は、絶え間ない身体的・精神的な苦痛との戦いでした。
6歳のときにポリオを患い、右足に障害を負ったフリーダは、16歳の時にさらに過酷な運命に見舞われます。通学中のバスが路面電車と衝突する大事故に遭い、脊椎、鎖骨、肋骨、骨盤、そして右足に計30箇所以上の骨折を負うという瀕死の重傷を負ったのです。
生涯にわたって繰り返された手術と長い療養生活の中で、彼女はベッドの上で絵を描き始めました。その絵を著名な画家ディエゴ・リベラに見せたことがきっかけとなり、二人は深く惹かれ合い、1929年に結婚します。
フリーダは、自身のメキシコ人としてのアイデンティティを表現するために、伝統的なメキシコのフォルクロレ(民俗様式)や色彩を自身の絵画に取り入れました。現実とファンタジーを融合させたその作風は「超現実主義(シュルレアリスム)」として高く評価されましたが、彼女の描くモチーフの多くは、自身の治療や流産、愛憎入り混じる人間関係など、肉体的な苦痛と内面的な孤独を投影したものでした。
心と身体の痛みを映す名作
彼女の作品は、言葉にできない痛みを可視化しています。
『壊れた背骨』(1944年)
コルセットで固定された肉体が裂け、脊椎の代わりに砕け散った石柱が描かれています。彼女が負った生涯の痛みが、冷徹なまでに象徴的に表現されています。
『ヘンリ・フォード病院』(1932年)
望みながらも叶わなかった出産と、それによる深い絶望と不妊の苦しみを、当時の病院という無機質な場所を背景に描き出しています。





